【まとめ】 脂質の薬を飲むかどうか、決めるのはあなた自身
スタチンは心臓病と脳梗塞の予防に効果があります。一方で、日本人では予防の効率はそこまで高くはありません。検診で高脂血症を指摘されても、あわてる必要はありません。スタチンについて書き手の考えを紹介します。

ポイント
- スタチンには効果がある
- 専門医で始まった場合、継続するほうが得
- 高脂血症だけの場合、薬を飲むべきかどうか、専門家でも意見が分かれる
スタチン
スタチンは 1972年 に遠藤博士が発見した。 1987年に発売され、全世界で30年以上に渡って使用されている。 その効果と安全性は確立されている。
スタチンと再発予防
スタチンは脳梗塞と心臓病の再発を予防する。 スタチンによって得られる恩恵はとても大きい。入院中に薬が始まった場合、退院後も継続する方が良い。
スタチンと脳出血
スタチンは脳梗塞と心臓病を減少させるが、脳出血は増加させる。スタチンを飲み始めるときは、血圧を十分にコントロールする必要がある。脂質よりも、血圧の管理が先になる。
LDLコレステロール の目標値
心臓病の再発予防では、 LDLコレステロール の 目標値 は 70未満 になる。しかし、専門医が診療しても、到達できるのは 6割 程度 に過ぎない。
70以上 であったとしても、スタチンの恩恵は受けられる。現在服用している人は、安心して続けてほしい。
日本人とスタチン
スタチンは欧米では奇跡の薬になる。しかし、日本人だと初発の病気の予防効果はそこまで高くない。
120人 が 6年間 飲んで、ようやく心臓病とその治療を 1件 抑えられる程度 である。
貴方が幸運な一人になるか、それは誰にも分からない。ただ可能性があれば、医者は勧めたいと考える。
動脈硬化のリスク因子
糖尿病は脳梗塞と心臓病のリスクを 1.6倍 にする。
慢性腎臓病は 1.9倍 上昇させる。
そうした人は、スタチンの恩恵は大きくなる。
喫煙者もそうであるが、できればまず禁煙を頑張ってみてほしい。
健診と高脂血症
健診で高脂血症を指摘されても、慌てる必要はない。女性は特にそうといえる。
健康ならば、LDLコレステロール は高いほうが長生きになる。納得できるまで調べる時間はある。
筆者の意見
スタチンは有効な薬
スタチンは、心臓病と脳梗塞の再発予防に対して確かな効果がある。病気を一度発症し、専門診療科で薬が始まった場合は、継続するほうが絶対得になる。
脂質だけ要精査だけど…
健康な人が健診で高脂血症だけを指摘された場合、薬を飲み始めるほうが良いかについては、専門家の間でも意見は分かれている。
複数のクリニックを受診すると、場所によって違うことを言われるかもしれない。
- LDLコレステロール が高いほうが長生き
- LDLコレステロール が高いと心臓病と脳梗塞が増える
この2つは、いずれも正しい。
おおらかな医師は、「薬なんていらないよ」と言ってくれるかも知れない。
心臓病や脳梗塞を多く診てきた医師は、「薬で予防できます」と言うかも知れない。
どちらかと言えば、書き手の考えは前者に近い。少なくとも、薬を勧められたら納得がいくまで説明を求めて良いと思う。
日本 の 未来
2022年の日本人の死因
割合 | |
---|---|
がん | 24.6 % |
心疾患 | 14.8 % |
老衰 | 11.4 % |
脳血管疾患 | 6.8 % |
肺炎 | 4.7 % |
日本人の死因で最も多いのは がん になる。そして 心疾患 と 老衰 が続いている。
スタチンが予防に効果があるのは、心疾患と脳血管疾患だけである。現在、両者は合わせて2割に過ぎない。
日本では心疾患による死亡が増加している。しかし、がんによる死亡はもっと多い。
そして、老衰がすべてを追い抜く勢いで急増している。
スタチンはがんと老衰は予防しない 。
日本の人口ピラミッド

ピラミッドの面影はどこにもないが、日本の年齢と人口の分布になる。
書き手が老人になる 20~30年後 は、老衰がトップでがんが2位の未来だと思う。
脂質の薬を飲むかどうか、決めるのはあなた自身になる。
筆者は高脂血症
書き手は高脂血症である。 ただし、LDLコレステロール より悪さの少ない、中性脂肪の高値になる。
自分は薬は飲まずに運動で付き合っていこうと決めている。