【帯状疱疹】 帯状疱疹に対する戦略、抗ウィルス薬 から ワクチン による予防へ
帯状疱疹は生涯で 30% 以上の人が発症する、かなりメジャーな病気です。帯状疱疹は、発症すると激しい痛みが伴います。帯状疱疹の治療は、今までは対症療法が主でしたが、新しいワクチンによって発症そのものを予防できるようになってきています。これから連載でワクチンについて紹介します。

ポイント
- 帯状疱疹は 30% 以上の人が発症する
- 発症すると激しい痛みを伴う
- 効果的なワクチンが開発されている
はじめに
帯状疱疹は何が怖いのだろうか?
帯状疱疹は、50歳以上 の成人で年間 約1% で発症する。
50歳 の人は 80歳 になるまでに、約30% の確率で発症する、かなりメジャーな病気になる。
帯状疱疹の発症率は、女性が男性の 1.5倍 高い。
帯状疱疹はヘルペスウィルスの感染症
帯状疱疹ウィルスはヘルペスウイルスの一種で、子供の頃にかかると水痘(水ぼうそう)を発症する。水痘が治っても、ウイルスは体内の神経節という所に潜伏する。
若くて免疫力が強いうちは悪さはしないが、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下すると再活性化して、帯状疱疹を発症する。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の初期には、胸背部の神経の走行に沿って、痒みや違和感が出現する。そのあと数日で帯状に小水疱が出現し、強い痛みを伴うようになる。
痛みは神経の障害に伴う強い痛みで、鎮痛薬が効きにくい。
水疱は 7~10 日 程度でかさぶたになり、3週間程度で治癒する。ただし高齢者や免疫が低下した人では、治るのが遅れる場合がある。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹を発症してから、3ヶ月ほど経っても痛みが残る場合があり、これは帯状疱疹後神経痛という。
神経損傷の後遺症のため治りにくく、生活の質が大きく低下してしまう。
抗ウィルス薬 から ワクチン へ
今までの帯状疱疹の治療は、発症したらなるべく早く抗ウィルス薬を使い、炎症を鎮めて神経障害を抑える方法だった。
現在は、新しく開発されたワクチンを用いて、発症そのものを抑える方向にシフトしている。
ワクチンを接種していれば、たとえ帯状疱疹を発症しても、症状を大きく軽減することができる。

全7回の連載
これから7回に渡って、帯状疱疹について連載する。
まずは、帯状疱疹の発症率について、大規模に調べた調査を紹介する。
次に 2種類 の 帯状疱疹ワクチン について、その効果を証明した臨床研究を取り上げる。特に筆者が気にする副作用については、掘り下げて検討したいと思っている。