【帯状疱疹】 帯状疱疹の発症率、香川県の 小豆島 と 豊島 で行われた大規模調査 丨 SHEZ研究

はじめに

帯状疱疹は、どれぐらいの確率で発症するのだろうか？

今回は、帯状疱疹の発症率について、大規模に調べた日本の調査を紹介する。

香川県の小豆島と豊島で行われた、大規模な疫学調査の論文になる。

地域住民の集団における、日本の 50歳以上 の成人の 帯状疱疹 と 帯状疱疹後神経痛 の発症率の 前向き調査：SHEZ研究

Incidences of Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Japanese Adults Aged 50 Years and Older From a Community-based Prospective Cohort Study: The SHEZ Study

Many cross-sectional studies have examined the incidences of herpes zoster (HZ) and postherpetic neuralgia (PHN), but prospective studies in Japanese older adults are lacking. Therefore, we conducted a community-based prospective cohort study to determine ...

www.ncbi.nlm.nih.gov

目的

50歳以上の日本人の 帯状疱疹 と 帯状疱疹後神経痛 の発症率を調査する

対象

• 2008年10月1日時点で小豆郡に在住する 50歳以上 の 12,522名

• 調査対象人口の 72.3%

方法

• 登録時に、帯状疱疹の既往・基礎疾患 を調査
• 4週間に1度、電話調査
• 帯状疱疹が疑われた場合は医療機関の受診を指示
• 確定診断は専門の皮膚科医が行った
• 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹発症後 3ヶ月以上継続する痛みとした

結果

平均追跡期間は 2.95年

800人（6.4%）が研究から離脱
離脱の原因は、死亡（5.1%）・追跡不能（0.5%）・本人の意思で中止（0.4%）・転居（0.3%）など

参加者の特徴

帯状疱疹の発症

1841人（14.7%）に帯状疱疹の既往があった

研究中に 401人（3.2%）が帯状疱疹を発症
男性 139人（2.5%）、女性 262人（3.8%）

79人（0.6%）が帯状疱疹後神経痛を発症
男性 28人（0.5%）、女性 51人（0.7%）

年齢と帯状疱疹の既往を補正すると、女性の発症率は男性の1.5倍

70歳以上で発症率が高く、50代 と比較して 70代 では 1.4倍

帯状疱疹発症者のうち 19.7% が帯状疱疹後神経痛を発症

性別と帯状疱疹の既往を補正すると、80歳以上で 32.9% と最も高い

今回のデータをもとに算出すると、日本の毎年の新規帯状疱疹発症者は 約59万人、帯状疱疹後神経痛は 約11万人

筆者の意見

参加者の男女比

1万人以上を対象にした大規模な調査で、結果の信頼性が高い。

調査対象のデータを見ると、一番多いのが 60歳代 になっている。現在は日本の人口で一番多いのが50歳代（！） だから少し高齢化が進んだ集団といえる。

参加者の男性が女性と比べて少ないように感じたが、調べてみると日本全国の 70代 の男女比が 6：7、80歳以上 が 4：7 なので、これでも男性が多い集団だった。女性は長生きである。

論文中に認知症の脱落者がいたと記載があり、現代の日本の研究だと思った。

帯状疱疹の発症率

帯状疱疹は 年間 約1% で発症、女性が 1.5倍 多く、50代 と比較して 70代 では 1.4倍 発症しやすい。

２割の人で 3ヶ月以上 痛みが残り、80歳以上では３割以上の人が痛みが残る。

帯状疱疹は発症率が高く、発症するとやっかいな病気 である。

次回からは、いよいよ帯状疱疹に対するワクチンの効果を見ていくことにする。